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高速道路8

5年前の連休最終日から、僕の家から見える湾岸高速道路は大渋滞をしていた。
ラジオを聞くとJUTAIは本線と支線を合わせて常時100,000kmらしい。
もうこの状況にはみんな慣れてしまったが、2年前にD国が支線を開通して以降支線がいくつか誕生したため『本線と支線』を合わせての距離表現になった。
『JUTAI』本線は、常に地球を一周する輪となって規則正しく循環し、そこから各地に支線が伸びている。
常時100,000kmの渋滞が維持されるという交通量は半端ではないが、社会の力はそんな交通量さえ『普通』にしてしまった。

経済大国B国による車の大量生産により、JUTAI中の車の車間距離はついにゼロとなった。
工業国E国の技術提案により、全ての車の『連結』事業が完了した。
世界中のJUTAI車はまるでひとつのベルトのように双方向3車線づつ、前後左右に連結された。
『動く敷地』と化したJUTAIの上には、C国が作る乗客椅子に続きベンチャー国F国がホテルや貨物スペースを建設した。

完全に様相を変えたJUTAIを世界は注視していた。
3車線・幅10m。
国土1,000,000k㎡の『動く国家』が誕生したようだった。
世界の人々の心には、そこに住みたいという衝動が生まれた。


JUTAIは『国家』へと変わろうとしていた。


JUTAIの上に作られたラジオ局が放送するラジオ番組ではJUTAIの上の高級ホテル『JUTAI SUITE HOTEL』の素晴らしさを放送していた。
ホテルに居ながらにして楽しめる『動く』絶景。
足元の高級JUTAI車に支えられる『揺れない』プール。
2つとない素晴らしいホテルであることは誰が聴いても明らかだった。

別のラジオ番組では運転が機械化されたJUTAI車について議論が交わされていた。
全ての車が連結され、運転が機械化されたJUTAI車について意見を求められた元JUTAIドライバーが
『車の運転を我々が行う時代は終わりました。運転席は小型化され小さな機械が制御しています。人間がいるのはほとんどの場合リビングスペースだけになりました。今後はこれらのリビングスペースは快適な居住スペースとみなされるようになるでしょう。』
と言っていたのには驚いた。


一方で、運転という仕事を機械に奪われた元JUTAIドライバー達は車の上に上がり、それぞれJUTAIの発展の為に働くようになった。
あるものはホテルの従業員になった。
あるものは土を持ってきて小さな畑を作り始めた。
あるものは雨季の地域を通過する時に集めた水を浄化して飲水を作り始めた。
あるものは大きなプロペラを作って進行方向に向け、風力発電所を作った。
JUTAI車の中には居住スペースが、上にはライフラインと商業施設が出来始めた。
JUTAIは、新たに生まれたJUTAIの側面を膨らませていく。
『JUTAIはひとつの国家である』
『JUTAIに住む国民を増やしたい』
大きな意思を持ち、JUTAIは国家になる為に歩み始めた。
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高速道路7

3年前の連休最終日から、僕の家から見える湾岸高速道路は大渋滞をしていた。
ラジオを聞くと渋滞の本線は常時50,000kmらしい。
もうこの状況にはみんな慣れてしまったが、最近はD国が建設を進めていた支線が開通した為『本線は50,000km』という表現になったらしい。
渋滞は『JUTAI』と認知され、常に地球を一周する輪となって規則正しく循環している。
常時50,000kmの渋滞が維持されるという交通量は半端ではないが、社会の力はそんな交通量さえ『普通』にしてしまった。

渋滞を維持するのに十分な量の車を生産した後も車を生産し続けるB国の活動により、JUTAI中の車の車間距離は当初の5mから4m、3m・・・と来て現在では1mとなった。

また、同じくJUTAI中の車の上に取り付ける乗客用の椅子を作り続けるC国の活動により、JUTAI中の99%の車が乗客用椅子を装備している状態となった。

B国とC国の強大な経済活動により刻々と変化を遂げるJUTAIの様子を世界は注視していた。
D国のようにJUTAIの招致に成功した国もあれば、静観する姿勢を選んだ国もあった。
世界は、やってくるであろう大きな変化に対するリアクションを間違えたくないという衝動に包まれていた。
それでもB国とC国によって、毎日大量に車と乗客椅子が生み出された。


JUTAIは、飽和を迎えようとしていた。


JUTAIを毎日報道しているラジオ番組では、その日の平均車間距離を逐一報道していた。
99cm、98cm、97cm・・・
転換期を迎えるのは誰が見ても明らかだった。

JUTAIの中では、高級化し大型化したJUTAI車同士が接触するケースが増えていた。
そこでドライバー達は専用のパーツで前後の車と『連結』し、車間距離を固定する策を講じ始めた。
その結果、これまで1台単位の車の集団だったJUTAIの中に2台、3台がつながって1つの単位となる車が現れ始めた。

テレビ番組では『JUTAIの行く末』について盛んに議論が交わされるようになった。
現状を踏まえた意見を求められた専門家が
『JUTAIの中の車の飽和で車の連結等の現象が起き始めていますが、これは変化の序章に過ぎません。連結に限って言えば、無限に連結が続くでしょう。』
と言っていたのには驚いた。


一方で、経済を動かすだけの力を持つとされ国から優遇を受けていたJUTAIドライバーにも変化の波が訪れていた。
JUTAIの中の車が増え、比例して増えてきたJUTAIドライバー達に支払う給料によって、国は苦しめられるようになった。
JUTAIの中では世界中で『連結』が進み、運転する必要のないドライバーが増えてきた現状を観察し、各国では『JUTAIドライバーの機械化』を探る動きが出てくるようになった。
連結して大きな移動単位となったJUTAI車を機械が自動運転し、車の上にはたくさんの乗客椅子を備える。
各国の、思い描く理想は一致していた。
役目を機械に奪われそうなJUTAIドライバー達は次の身の振り方を考える。
『今まで稼いだお金で暮らしていける。JUTAI車のリビングスペースでゆっくり過ごそう。』
『車の上に上がって乗客向けにクレープでも売り歩こうか。』
JUTAI機械化の波は、もう間もなくやってくる。

高速道路6

昨年の連休最終日から、僕の家から見える湾岸高速道路は大渋滞をしていた。
ラジオを聞くと渋滞は常時50,000kmらしい。
初めは聞いたことがない状況だったが、もうこの状況にはみんな慣れてしまった。
渋滞は常に地球を一周する輪となって規則正しく循環している。
一年間50,000kmの渋滞が維持されるという交通量は半端ではないが、社会の力はそんな交通量さえ『普通』にしてしまった。
渋滞を維持するために必要な大量の車を生産したことにより経済発展を遂げたB国は今や世界一の経済大国に発展し、渋滞中の車の上に取り付ける乗客用の椅子を開発したC国もB国に続く世界第二の経済大国に発展した。

B国とC国の急激な発展により、渋滞が通る他の国々でも何かビジネスを始めようと追従する動きが出始めた。
渋滞が通らない国々の心には、渋滞が自国を通って欲しいという衝動が生まれた。
国の発展の為、渋滞の招致するという新しい概念が生まれた。


渋滞は、『JUTAI』として世界の人々の関心を集め始めた。


『JUTAI』が通らない国々ではどのように『JUTAI』を招致すべきかを議論するテレビ番組が盛んに放送された。
番組の中で意見を求められた専門家が
『JUTAIを招致するにはまずJUTAIが通るべき高速道路が必要です。JUTAIが我が国にやって来れるように良質な高速道路を作りましょう!!』
と言っていたのには驚いた。

一方で、経済を動かすだけの力を持ったJUTAIの中で車を運転するドライバーになることは栄誉とされるようになった。
世界の国々の行く末を左右する立場となったJUTAIドライバー達には、国から給料が支払われるようになった。
JUTAIの中の車は高級化し、乗り心地も向上し、C国が開発した乗客椅子を利用してJUTAIに乗って旅をするというスタンダードはますます人気になった。
家に勝る財産と化したJUTAI車を持つドライバー達は皆、次の進化を考える。
『自由な時間を増やすために交代ドライバーを雇おう』
『稼いだお金でもう一台、JUTAI車を買おう』
高級化し、大型化したJUTAI車の中では同乗者がくつろぐリビングスペースが作られた。
『JUTAI』の中で、外で、変化の波が押し寄せていた。

高速道路5

先月の連休最終日から、僕の家から見える湾岸高速道路は大渋滞をしていた。
ラジオを聞くと渋滞は常時50,000kmらしい。
ちょっと聞いたことがない状況だな。
渋滞は常に地球を一周する輪となって規則正しく循環している。
一ヶ月間50,000kmの渋滞が維持されるという交通量は半端ではない。
渋滞を維持するために必要な大量の車を生産し経済発展を遂げたB国に続き、C国は渋滞中の車にある改造を施すビジネスを始めた。
車の屋根の上に乗客用の座り心地のいい椅子を取り付けるという改造だ。

C国の働きにより、渋滞中の車の中に乗客用の椅子を備えた車が増え始めた。
人々の心には、その新しい座席に座りたいという衝動が生まれた。
週末には渋滞中の車の上に座り、のんびり移動するというスタンダードが生まれた。


渋滞は、新しい意思を持ち始めた。


渋滞を中継するテレビニュースの中で、乗客を乗せているドライバーが
『私が渋滞の中で車を運転することによって、世界中の人々をつなぐことができる。これがやりがいです!』
と言っていたのには驚いた。

渋滞の中の人は大変な役割を担っている。
新しく意思を持ったこの若く脆い渋滞を存続させ、世界をつなぐ役割だ。
家に帰るという目的を失ったドライバー達は皆、考えを一新させる。
『車に家の機能を持たせる為に改造する』
『世界を見て回る自由を手に入れる』
同乗者の人々も交代で運転に入るドライバーとなった。

高速道路4

連休最終日、僕の家から見える湾岸高速道路は大渋滞をしていた。
ラジオを聞くと渋滞は50,000kmらしい。
ちょっと聞いたことがないほどに繋がってるな。
地球を一周する長さの為、その交通量は半端ではない。
地球一周となれば無論たくさんの国々をまたいで渋滞が続き、輪のように循環しているということになる。
通常、渋滞にはある特定の場所へ向かう意思が存在し、交通量が集中することで起きるものだ。
今日のこの渋滞の意志は何だろうか?
いやいや、これは今は分からない。
どうやら、渋滞が貫くB国では渋滞をつなぐ為に大量の車を生産し、経済が活性化したようである。
渋滞を中継するテレビニュースの中で、インタビューに答えるB国の男性が
『私はラジカセ屋ですが、車の中で聴く用にラジカセが飛ぶように売れてウハウハです。』
と言っていたのには驚いた。
渋滞の中の人は大変だ。
だが同時に多数の国に通じる世界旅行気分も味わえそうだ。
それならば、みんな『家に帰る』という目的はないのかもしれない。
ドライバーの人は一種の使命感があるように思う。
『常に一定の車間距離で渋滞を作る。』
『長時間の運転に備えて食料の積み込みは多めに行う。』
同乗者の人々には良きサポート役を担ってもらいたい。
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日常を置き換えたなら。
プロフィール

~星郎~

Author:~星郎~
頭を軽くして空っぽな気持ちで。
書きながら探すのは今日のゴール地点。
そんな私のライティングスピリッツ。

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